まとめてみよう

 昨年一年間で読んだ本47冊。
 控えめに設定した目標の60冊に届かず。感想を書く!という目標は読書メーターに丸投げしておきながら何も書かなかったものもあったようななかったような。そんな2009年でしたがああー去年は人身事故の後に散らばってる人肉見たりしたんだよなーたしか。そんなことを今思い出した。フツーにただの「肉」だったけど、ちょいと前まで生きていた「人間」の肉だと思うとなんだかこう感慨深い。そんな思い出に浸りつつ、昨年面白かった本でも取り上げてみようか。

【松】
・「ジョナサン・ストレンジとミスター・ノレル」スザンナ・クラーク感想
・「ハローサマー、グッドバイ」マイクル・コーニー感想
・「ブルーワールド」ロバート・R・マキャモン感想
・「膚の下」神林長平

【竹】
・「青猫屋」城戸光子感想
・「死のロングウォーク」スティーヴン キング, リチャード・バックマン
・「エピデミック」川端裕人
・「夏季限定トロピカルパフェ事件」米澤穂信
・「つきのふね」森絵都

【梅干】
・「ボルネオホテル」景山民夫感想
・「ナイトボート」ロバート・R・マキャモン

 「ジョナサン・ストレンジとミスター・ノレル」は面白い!と感じる条件がそろい過ぎていて年始に読んだにも関わらず印象が、逆に思い出補正がかかるぐらいぶっちぎりでよかった。装丁がいい。雰囲気がいい。読後の満足感がいい。料理と一緒で、同じものでも体調やタイミングによって旨い!と感じる度合いは違うわけで。そういう微妙なバランスが必然か偶然か完璧だった。もちろん内容もよいよ?古本で見つけたのでちょっと購入して本棚に並べようと思う。読まなくてもいいけど本棚に飾っておくといいよ。でも読むといいよ。注釈を眺めてるだけでも面白い。でもめんどくさそうだよねハードカバーで3冊もあると。
 「ハローサマー、グッドバイ」感想を見ていただければ当事の揺れる思いが分かるかと。理解できない?お前の血は何色だ。
 「ブルーワールド」表題作「ブルーワールド」もそうなのだが、マキャモンのロマンティシズム溢れる作品は「夜はグリーンファルコンを呼ぶ」だろう。これは、ちょいと笑えてちょいとホロリと出来るライトタッチなコメディ作品なんだけど、これこそがマキャモンの本領発揮なんじゃないだろうか。とにかくこの二編だけは何が何でも読んで欲しい。短くて読みやすい作品だけに、無理やりにでも勧めたい。読めよおう早くしろよ。
 「膚の下」こいつはすげー。超スゲー。最初から最後まで面白かった。山場があって、「あのシーンが!」とか「あそこの流れが!」とかそういうんじゃなくて最初から山。ずっと山。全体的に単調なんだけど、あのシーンのおかげで最初から面白かったような気がする…とかそんなんじゃなくて最初から飛ばしすぎで不安になってたらそのまま走りきりやがった。もうなんか言うことなさ過ぎてどうしたらいいかわからない。やましい動機から「天国にそっくりな星」しか神林作品を読んだことなかった自分には想像もできなかった作品のクオリティーに唖然。感想が上手くかけないのが残念。長いし。
 で、ちょいと【梅干】枠の作品について語っておくと、「ボルネオホテル」こいつぁやべぇ。八雲風にいうとやくい。とにかくひでぇ。これ読んだ人と語り合いたい。アメトークでボルネオホテル芸人やってくれんかな。爆笑間違いなしだと思うんだが。「ナイトボート」は「つまらない」の集大成なので娘を人質に取られない限り読まなくて良い。読むと死ぬ。金玉の中の精子が死ぬ。マジで。
 「死のロングウォーク」設定やらナンやら一切説明なしでひたすら歩いてるだけの作品。序盤はなんの感情移入も出来ないままバタバタと人が死んでいくのだが、それにも慣れてきた後半はそれを補って余りある悲しいシーンが。みんななんでこんなに達観してるんだろう。何で歩いてるんだろう。なにかスゲー物を見せ付けられたような気分になった不思議な作品。1回読んどけ。さようなら
 「エピデミック」新型インフルエンザが流行ったときにふと思い出して読んだ作品。舞台は、多分湘南とか藤沢とかそんな感じの町で重症化して死に至るインフルエンザのような病が流行する。そこで国立集団感染予防管理センター実地疫学隊隊員達が「疫学調査」を行い原因を追究していくお話。徐々に感染者が広がっていく災害小説としても読めるし、地道な聞き込みと調査員達の推理を楽しむミステリとしても読める。これまた分厚いんだけどいつか鶏インフルが流行ったときにでも思い出したら読んでみるといい。
 とりあえずこんなところだろうか。本年もよろしくお願いします。