彼は、自分にはアップルシードという名前しかない、年は十二歳だ、と主張した。しかし、ミディという妹によれば彼は八歳だった。
(「夜の樹」/トルーマン・カポーティ)

今年はカブトムシをよく見る。
今年はというか、今の家に引っ越してきて8年目だが近所にカブトムシが落ちているのを見かけたのは今年が初めてである。
一度目はバイトから帰宅中の深夜、潰れた雌を。
二度目はこれまたバイトから帰宅中の深夜、電信柱に激突し墜落してきた雌。

そして先日、茹だる様な暑さの午後一時過、近所の古い民家の間を通る、大きな樹に囲まれ日陰が涼しい細い道で雄を発見。アスファルトの道をもぞもぞ這っていたのを華麗に捕獲。
肩にとめたりしてもてあそんでいると小学生ぐらいの幼女集団とすれ違う。

「カブトムシ持ってる…」等とボソボソ言い合っているのが聞こえ、若干変質者扱いされているのかと気になったがさわやかに声をかけ(実際は不気味な半笑いで「ヒヒ、いる?ウヒヒ」とか言っていたかもしれない。いや、言っていたに違いない)カブトムシさんを差し上げてきた。
いやー、クワガタもいいけどカブトムシもカッコいいねやっぱ。