魔女は夜ささやく 33.34冊目

魔女は夜ささやく〈上〉

魔女は夜ささやく〈上〉

魔女は夜ささやく〈下〉

魔女は夜ささやく〈下〉

 上巻に3週間、下巻に2日かけて読了。
 物語の舞台は17世紀末のアメリカ、カロライナ地方。数年前に新たに開拓された町ファウント・ロイヤルでは2件の殺人の罪で魔女<レイチェル・ハワース>が囚われていた。
近隣の港町チャールズタウンの判事<アイザック・ウッドワード>とその書記でありこの物語の主人公<マシュー・コーベット>の二人は法による「文明的」な捌きを下す為にファウント・ロイヤルへと出立する。
ファウント・ロイヤルに着くまでには、インディアンと猛獣が徘徊するらしい深い森を抜けていかなければならない。そうしてやっとたどり着いた町は長く降り続く雨による不作、頻発する不審火、それらを含めた魔女への恐怖から町を出て行く住人も少なくない。
 17世紀末といえば中世で起こった魔女狩りは徐々に下火になってきている時期だが、こうした閉鎖された町では魔女への恐怖はいまだに大きな影響力を持つ。住人たちの多くが「魔女はいつ焼かれるのか?」「今すぐ魔女を火刑に処すればこの町には再び平和が訪れる」とするなかで、判事<アイザック・ウッドワード>と書記<マシュー・コーベット>は調査を開始する。彼女は町の住人に、サタンとの密会を目撃されており、物的証拠も揃っている。しかし、書記<マシュー・コーベット>は調査を進めていくにつれ彼女<レイチェル・ハワース>は魔女でないと確信するに至り、判事<アイザック・ウッドワード>とは立場を異にしていく。

「あたたはほんとうに――一点の疑いもなく――レイチェルは魔女だと信じているのですか?」
「お前の質問は……感情に傾きすぎている。わたしには、法を支え、法の定めたところを実行する責任がある。証拠が彼女は魔女であるといっている……よって、最大限厳格に法を適用しなければならん」

 1頁二段組、上下巻合わせて813頁の大作。上巻では、これでもかというほど謎がばら撒かれ、なんだかよくわからないけど大興奮。興奮しすぎて体力を消耗するので移動中の電車内でちょびちょび読み進めて約3週間。その謎が解き明かされていく下巻は一気に読んでしまった。ご馳走様でした。もともとホラー作家として活躍していた作家だけに、ファント・ロイヤルを取り巻く中世的な、暗く閉鎖された町の雰囲気がいい感じ。また、孤児院育ちの書記<マシュー・コーベット>とマシューを引き取り育てた判事<アイザック・ウッドワード>の擬似父と息子の関係にも注目。
 他の作品も読みたいんだが、近所の図書館には置いてないし、本屋にも当然ないし、どうしたもんか。ジュンク堂とかいきゃあるのかしら。