灼熱のエスクード3 02冊目

灼熱のエスクード3  I WILL CATCH U (富士見ファンタジア文庫)

灼熱のエスクード3 I WILL CATCH U (富士見ファンタジア文庫)

もしどこかで女神の怒りを逃れてひっそりと雪を待つベロニカの花を見つけたら、そっと摘んで帰り、花を咲かせるまで静かに見守り続けたい。 
12月のベロニカ」/貴子潤一郎

 実に8年ぶりとなるファンタジア大賞受賞作「12月のベロニカ」でデビューし、2作目「眠り姫」でやたらと絶賛され、なんやかんやで大仰な帯付で開始された「煉獄のエスクード」シリーズが若干名前を変えた通算6巻目。+短編集1有。
 第1巻こそちらほらと話題にはなっていたがその後売れてるんだか売れてないんだか人気あるんだかないんだか。ちょいと前に富士見のフェアでデデンと売りに出されており「やはり大賞受賞作家のシリーズ物だけあって、後押しもしっかりしてるんだなぁ。きっと売れているんだろう」と安心したもののやっぱりどこからも、なんとも、うんともすんとも聞こえてこないこのシリーズ。
 表紙絵の劣化っぷりが激しく、とうとう「きもいなぁ…」と思える域にまで達したこのシリーズ。
 面白いんだけどなぁ〜なんでだろう。文章は上手いし、お話を一冊の本にまとめるのも上手い。この作家に対する信頼度はかなり高く、積読することなく買ってすぐ読める。他人に無理やり貸し付けられても貴子潤一郎の本だと分かればすぐに読むだろう。でもそういえば、何故か人に勧めようとはあまり思えないなぁ。タイトルがダサいからか?
 まぁ次巻で完結のようなので、こんな風に悩むのも次で最後でしょう。寂しいような嬉しい様な感じです。おもしろいよ、ほんとに。
 もしどこかで返本の憂目を逃れてひっそりと購入を待つ貴子潤一郎の本を見つけたら、そっと買って帰り、花を咲かせるまで静かに見守り続けたい。