英米ホラーの系譜 04冊目

英米ホラーの系譜 (ホラーセレクション (9))

英米ホラーの系譜 (ホラーセレクション (9))

 池澤夏樹と聞いて池澤春菜を思い浮かべる類の人たちは、金原瑞人と聞けば金原ひとみではなく秋山瑞人を思い浮かべるだろう。古橋秀之でもいいけど。と、まぁそういうわけで金原瑞人編の古臭い英米ホラーアンソロジーポプラ社のホラーセレクションの9巻で、児童書ですね。

「びんの悪魔」ロバート・ルイス・スティーヴンスン
 悪魔を閉じ込めた瓶は、所有者のどんな望みも叶えてくれる。しかし、その瓶の所有者は死後、地獄に落ちる。逃れる方法はただ一つ、瓶を他人に売り払うこと。それにも条件があり「買ったときより安い値段で売ること」「支払いは硬貨でのみ行うこと」主人公ケアウェは豪邸に住む孤独な老人からこの瓶を50ドルで買い取る。望みの豪邸を手に入れ、友人に瓶を売り渡すケアウェ。その後出会ったコクアと言う女性との結婚を目前に控え、ケアウェアの体は、即隔離病院送りの奇病に犯される。絶望したケアウェアはあの瓶のことを思い出し、再び瓶を購入するためにその足跡をたどっていく。そして、ようやく見つけた瓶の値段は、1セント。というのが中盤までのお話。後半はその瓶を購入してしまったケアウェとそれを知ったコクアの二人が、瓶の恐怖から何とか逃れようともがくお話。

「信号手」チャールズ・ディケンズ
 切り立った崖に囲まれた、山中にある信号所に勤める男の話。オチでぞくりとさせる類の話。「ようく読むと、さらに怖い」とのこと。まさにその通りでした。

「告げ口心臓」エドガー・アラン・ポー
 狂人の独白。自分が殺した人の心臓の音がうるさいらしいです。がんばってください。

「アウルクリーク橋のできごと」アンブローズ・ビアス
 アメリ南北戦争の時代。一人の男が北軍の兵隊達の手によって処刑されようとしていた。首にロープを巻きつけられ、アウルクリーク橋の上に立たされている。男は南側にすむ農園主ペイトン・ファーカー。彼がこれから見る風景は。視覚的な描写が秀逸。

「夜の声」ウィリアム・ホープ・ホジスン
 ある夜、突然海の向こうから声がした。小さな帆船の船長とその友人は、その声が語る恐ろしい話を聞く。一番ホラーっぽいホラー。僕が小学生ぐらいのときに読んだのはこういう話だったなぁと懐かしくなる。