結果発表〜陽炎を泳ぎ草の香りでお腹一杯になったら地を打つ光から足を引っこ抜き影は置いといて君と二人きりになろう〜

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 さて、一曲聴いたところで一句詠まないかい?
 そんな虫の声が聴こえたと君が言うので(やばいこいつ入道雲の隙間から電波受信しやがった、と思いつつも慎重に話を合わせて)今日は俳句の日。
 総勢15名の小人さんたちから2句づつ持ち寄ってもらい+ゲストの一句を加え、夜の墓場で大俳句大会と洒落込みました。
 当然、テーマは「夏影」
 以下エントリーされた作品

輝る月に 草の葉香る 夏の影 
あっついね 夏だからかな そうだろう
緑深し 水面に映る 夏の影
君と行く つなぐ手夏に とけあって
陽の匂い 水面にうつる 繋いだ手
夏影の 青の深さと はれた肌
焼けた空 影が伸びるは 明日の空
夏影に きしむ自転車 遠き路
同じ水 染み出た汗を 一気飲み
蒼き空 積乱雲の 影遠く
アスファルト 夏影映す 空の蒼
影を飛び 君の背を追う 夏の道
君と行く 繋いだ影を 離さずに
暑いね 夏だからな 嘘をつく
川沿いを 走る自分と 夏の影
夏影に 隠れて触れる 君の肌
暑いね 夏だからな 上を向く
ひさしぶり ホームに降りた 君の影
フルフルと こぼれる水と 夏の影
日を隠す 一粒の影 夏の雨
月の影 祖母と並んで 蚊帳の中
ひさしぶり マウンドたった 夏の影
何時までも 夏影深く 空蒼く
落ちる汗 アスファルトの上 夏の影
君と行く 影で繋ぐ手 離さずに
揺らぐ影 のどを潤す 君の汗
あっついね 君の瞳は (事故により没
水しぶき 堰にたわむる 子らの影
天高く 突き出る雲の 遠きかな
さようなら 君の言葉と うろこ雲
夏の影 探して真似る 蝉の声

 と言うわけで厳選なる殴り合いの結果、最優秀賞1句、優秀賞2句、佳作3句が決まりました。

 最優秀賞 「影を飛び 君の背を追う 夏の道」


 優秀賞 「夏影に きしむ自転車 遠き路」
 優秀賞 「君と行く 影で繋ぐ手  離さずに」


 佳作 「水しぶき 堰にたわむる 子らの影」
 佳作 「焼けた空 影が伸びるは 明日の空」
 佳作 「夏影に 隠れて触れる 君の肌」

 皆さん、俳句など詠まれたことがない方が殆であるにもかかわらず、力のこもった句をお持ちいただき、ありがとうございます。この場を借りてお礼申し上げます。今回各賞に選ばれなかった句にもすばらしい作品が多々ありました。これを期に、ふとした瞬間に句を詠んでみるなんていう生活もよいのではないでしょうか。皆様からのご要望が集まれば、第2回句会の開催もあるかも??ってな感じでございやす。
 それでは最後になりましたが、生き残った方々から、各賞への感想を頂いておりますので、もう一度各作品と併せてご覧ください。

 ○最優秀賞 「影を飛び 君の背を追う 夏の道」

 「子供のついやってしまう一人遊びと、君という2人称を意識し始めた思春期の微妙な時期が、夏という季節に重なって表現されたところを評価しました。」
「『影を飛び』という上の句で、落ち着きのない幼い子供を想起させ、『君の背を追う』という中の句で、一人遊びに興じながらも意識は『君の背』へ向いているという対比がよい。本当は、『一緒に行こう』と、声をかけ共に歩きたいのだろう。それが出来ない淡い思いが、夏の道に落ちるくっきりと濃い影とあいまって切なく感じられます」


○優秀賞 「夏影に きしむ自転車 遠き路」

「自転車で遠出して、広がる夏の光景に目を奪われてしまったんでしょう。帰る段になって、ようやく遠いところまで来てしまい暮れた路を一人古い自転車で帰ってゆく、そんな光景が浮かんできます。」


○優秀賞 「君と行く 影で繋ぐ手  離さずに」

「無邪気に振舞いながらも、二人の気持ちは心の奥底でしっかりと繋がっている。彼ら、彼女ら、もしくはその両方かもしれませんが、この二人はきっとこの夏が終わっても、もっとずっと想像もつかないぐらいに長い時が経過しても、いつまでも共にあることでしょう。そう思わせてくれる句です。ふと、昔の友人に連絡をとりたくなってしまいました」


○佳作 「水しぶき 堰にたわむる 子らの影」
「川遊びしてえ!」「『堰』は『ひつぎ』って読むのでいいんですか?」「河川堰っていうのは、魚にしたらただの障害でしかないんですよね。」


○佳作 「焼けた空 影が伸びるは 明日の空」
「なんだか情景がSFチックでいい」「夕暮れ時に『じゃあまた明日な!』そんな子供たちの声が聴こえます」「戦時中の事を思い出しました」


○佳作 「夏影に 隠れて触れる 君の肌」
「ひと夏の恋って感じ」「エロ過ぎて鼻血出た。」「きれいに小麦色に焼けた肌が、ワンピースから覗いているのが目に浮かぶようです」

ありがとうございました。