あなたのための物語

あなたのための物語 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

あなたのための物語 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

デビューしたての新人の癖にスカした文体で、その洗練され落ち着いた筆致は新人離れしているとかなんとかぬかしつつ旧ソ連社会主義体制をやばい感じ書いてロシアで発禁だとかでデビュー前から話題になりつつこのミスで上位に入ったりするのがなんだか段々気に食わない感じになってくるのはなにも俺が青臭いからではなく、大学時代廃部になりかけたサークルの代表でもなんでもないのに後輩引き連れて大学側のよく分からん似非査問会みたいなので大勢のオッサンオバサンから責められて、なかば逆切れ気味にあんたらの方がおかしい大人なんて大嫌いだ!的な事をほざいて意気揚々と引き返してきたその後羞恥心から浴びるほど酒を飲んで暴れて寝るというどうしようもない人間であるからでもなく、多分アンドレイ・チカチーロをモデルにした殺人鬼が幼い子共をmyルールに従って楽しく殺すシーン、そう!自らの信念を貫くって素晴らしい!ただの病気だけど!と、そういうシーンが妙にノリノリで筆がノッていて、お前の本性はわかっているぞ!スカしてんじゃねぇ!大好きだ!なトム・ロブ・スミスと並んでコリャぁまじで変態だと確信している、幼女の嗜虐的性癖を書かせたらピカイチ、ドMなおっさん寄っといででおなじみの長谷敏司ラノベじゃないやつ。
 なんだけどやっぱりこの人読み辛い。円環少女の2,3巻ではだいぶ読みやすくなっているように感じたけれど、今回は本気出しちゃったというかなんというか。多分こういう性格なんだろう。「死」をテーマにしているだけあって内面の葛藤やら対話やら議論やら読むのに疲れて盛り上がらないままオワタ。環境セルと羊水ベッドは超魅力的だけど。